~最終章~「知ってる。ディールの馬鹿」レイドが、笑いながら言った。 しかしその笑顔とは裏腹にその手に持っているのは巨大な背負い刀が握られている。 「そうか、ごめんな。しかしお前の芝居、いつ見ても上手いな」 珍しくディールがレイドを褒めた。 「ディール大丈夫?熱ない?」 ディールがせっかく褒めたのにレイドはディールをひやかした。 「っるせぇ」 ディールも笑いながらしゃべってはいるが、その手にはレイドの動きを止めるほど重い鎖鎌がある。 「じゃぁ、殺る?」 「殺りますか」 レイドが飛び出して追っ手の懐に入った。 犬、とレイドとディールは言うが獣衛隊の刺客である。レイドを容易に懐に入れるわけではない。 レイドは足の包帯をはずした。 そして、出てくる血を掌いっぱいにため追っ手の顔めがけてかけた。 べしゃ! 目に血が入ったのか追っ手は頭を振った。 「やたw」 レイドにしか使えない荒技である。 そのまま、追っ手に向かおうとしたがディールに止められた。 「血、血、血、血ぃ止めろ!!」 ディールはレイドに包帯を投げ渡した。が、それがいけなかった。 レイドはそれをキャッチして、そのまま足に包帯を巻いているのである。 下を向いて包帯を巻いているから首が丸出しだ。 「もらった・・・。」 追っては低くそう言うとレイドに近づいた。 キィィィン ディールの鎖鎌が追っての刀を弾いた。 「あ、ゴメン」 レイドは足に包帯を巻き終わったようだ。 「ったく。お前そういうところがあるから馬鹿って言われるんだよ」 「馬鹿じゃないもーん」 レイドは反論した。 しかし、その表情に怒りはない。 「なぁ、ディール?このまま細か―――――く刻んでもいいんだけどねやっぱりメキメキにしない?」 メキメキということは、骨を折るのだろう。 「う~ん、いいね。賛成w」 ディールもにっこり言った。 「じゃぁ、やるよ」 レイドは静かに手を合わせた。 合わせた手の間から銀色の糸のようなものが流れた。 ゆっくり手を離すと手と手の間に銀色とも水色ともつかない妖気が球体になっていた。 レイドはその球体をゆっくりと吹いた。 すると球体はスルスルと空を走り目標物の体へと吸い込まれていった。 パキ・・・・・・。 この音が合図だった。 「ぐわぁぁぁぁ・・・・っ!!」 追っ手がもだえ始めた。 バキ、メキッ!! まるで小枝を折るような軽快な音である。 しかし折っているのは枝ではなく骨である。 「グハッ、カハッ!!ぐぅっく・・・・ゲボッ!」 追っ手は多量の血を吐いた。 「あっw」 レイドは近寄った。 「レイド行くな。ダメダ」 ディールは犬をなだめるように言った。 「えぇー!?」 レイドは小さな子供のように言った。 その間にも追っ手の体は崩れていく。 「ぎぃゃぁぁぁ!!」 この声が最期の一声だった。 「おぉ!!上出来♪」 レイドの上出来とはどのくらい上出来なのだろうか。 先ほどの効果音、レイドのリアクションから解かってもらえるかも知れませんが、それでも、と言う方どうぞ。 いやな方は下の白い焔まで猛スピードでスクロールしてください。 関節は曲がるはずのない方向へと曲がっている。 関節でない所も曲がっている。 つまりは骨という骨を折られているのだ。 「う~ん。もうちっとほしかったなぁ」 ディールは不服を言っている。 「え、何?じゃぁ頭の皮と頭蓋骨と脳と三つに分けるわけ?」 レイド、すこしブチリときたようで。 「そ、そんなことないよ。ここのままでもいいけど、首の骨を折って欲しかったなって・・・・・。」 ディールはレイドがキレると、とてつもなく恐ろしいことを知っている。 それでこんな言い方をするのだ。 ある意味一番賢く一番ずるい。 「わかった。今度そうする」 レイドの噴火は何とか収まったようで。 ![]() 「さて、行くか」 ディールは鎖鎌を肩にかけその場に背を向けた。 「うん」 レイドも背負い刀を鞘に収めディールに駆け寄った。 END ジャンル別一覧
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